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5.3マルチメディアによる船体構造損傷解説システムの構築
前述の実船の疲労損傷は複雑な3次元的部材交叉部に発生するので、幾何学的認識に困難を伴う事が多い。そこで、3次元CGやマルチメディア技術を利用し、船体構造内の疲労強度危険な箇所の代表的損傷をわかりやすく解説し、検査者により発見されたき裂損傷の形態を比較的容易かつ的確に認識することのできるシステムが構築可能であることをばら積船を例にとって示した。き裂損傷のデータは本研究部会の調査資料を用い、また腐食状況の写真は日本海事協会の資料を利用した。
具体的には、パソコン上でDirectorとよばれるマルチメディアオーサリングソフトウェアを用い、文字、静止画、動画、音声などの各種ディジタル素材情報を統合した。本損傷解説システムを実行すると、ユーザーは「き裂」または「腐食」に関する情報をマウスにより選択することができる。「き裂」を選択すると、どの船種についての情報を知りたいかを選択する画面が表示される。例えば、「バルクキャリア」を選択し、さらに探索する区域の選択を行う。図5.8には、横隔壁区域の下部スツールと内底板の交叉部のき裂、図5.9には上甲板区域のハッチコーナーのき裂の例が示されている。同様に、腐食損傷の箇所の探索も図5.lOのように3次元CG画面をもとに行うことができる。図5.11はトップサイドタンク内の腐食状況の写真である。このようなシステムによって各種船舶の損傷に関係する一般情報を蓄積していけば、設計者、運用者、検査員にとって有用なデータベースとすることができるであろう。
5.4結言
本節では、実船の疲労き裂伝播形態を数値シミュレーションする手法について述べた。本手法によれば、溶接残留応力のある船体構造部材において、応力の2軸性からき裂伝播経路が急変する場合にも、十分な精度で伝播経路と応力拡大係数を算定できる。また、実船のき裂等の損傷情報をビジュアルに表示するシステムの開発も行い、ばら積船を例にその有効性を示した。このようなシステムによって各種船舶の損傷に関係する情報を蓄積していけば、設計者、運用者、検査員にとって共通の有用なデータベースとすることができる。
【惨考文献】
1)角他、造船学会論文集、176、(1994)、pp.447-454.
2)川村他、造船学会誌、794、(1995)、pp.575−580.
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